
画像 : メーカーのwebサイト(https://motu.com/en-us/)より
この記事を書いている2020年8月現在もずっと品薄状態のMOTU M2/M4ですが、最近やっとM4を入手できました。オーディオインターフェースとしてこの価格帯では評価が高い機器ですが、果たしてどんな音を出してくれるのでしょうか。
開けてみると
外箱
箱の裏側に簡単なセットアップ手順が記載されてます。
M4本体以外の同梱物は、USB2.0ケーブル(Type-C)と電化製品によくある多言語の注意書きのみという、非常にすっきりというか潔いというか、余計なものは一切入っていませんでした。こういうのは助かります。
入出力
パソコンとの接続は非常に簡単で、メーカーのWEBサイトからドライバをダウンロードしてインストールしたら、本体とUSBで接続して本体背面の電源をオンにするだけです。因みに代理店の日本語サイトよりも本家英語ページの方が新しいバージョンのドライバが置いてありました。
M4は4in 4outの仕様になっています。
まずinを見ていきますと、本体前面左からinの1と2がありますね。ここはコンボジャックになっており標準ジャックでもXLRでも対応できる一般的な接続口になっています。そしてファンタム電源供給用の【48V】ボタンと、【MON】と記載されたダイレクトモニタリング用のボタン、そして入力音量を調整する【Gain】のノブがそれぞれ付いています。
まずinを見ていきますと、本体前面左からinの1と2がありますね。ここはコンボジャックになっており標準ジャックでもXLRでも対応できる一般的な接続口になっています。そしてファンタム電源供給用の【48V】ボタンと、【MON】と記載されたダイレクトモニタリング用のボタン、そして入力音量を調整する【Gain】のノブがそれぞれ付いています。
マイク入力とライン入力はそもそも信号としての音量が全く違うものなのですが 、それを切替するスイッチ類は付いていませんでした。そこは自動で対応する仕様のようです。
【MON】ボタンは長押しするとステレオモードに切り替わります。in1とin2はそれぞれ独立したモノラル入力なのですが、ステレオモードにするとin1をL、in2をRとしたステレオ入力としてモニタリングできるようになります。in1とin2どちらの【MON】ボタンを長押ししても、両チャンネルを使うステレオモードに切り替わりました。再度長押しでモノラルモードに戻ります。
in3とin4は本体背面から見て右端にあります。こちらはTRSのライン入力専用になっていますね。そしてこのCH用の【MON】ボタンは前面にあります。3-4と書いてあるボタンがそれですね。
その上のInput Monitor Mixと書かれたノブは、in1-4のダイレクトモニタリング音量と、PCからの伴奏など出力の音量とのバランスを取る為のものです。 録音する時に重宝する機能ですね。
次にoutを見てみます。
outに関しては接続口は全て背面にあり、ヘッドフォン用のTRSが唯一前面右下に存在してます。
outは全てTRSフォン接続とRCA接続の2つずつ用意されており、出力に対してはミラーリングペアになっています。つまりout1の音はout1のTRSフォンからも同RCAからも出力されるという事ですね。
out1と2はモニター出力になってます。 こちらから出力される音は本体前面右側にあるMOTUロゴ下の大きなノブでボリューム調整ができます。そしてヘッドフォン出力にもout1と2のモニター出力の音が出てきます。ヘッドフォンは独立してボリュームノブが横に付いていますね。そして ダイレクトモニタリングの音も全てout1と2に出力されます。
out3と4はライン出力です。こちらはボリュームノブの影響は受けませんでした。 ヘッドフォン出力にもout3と4の音は出ません。
ではout3と4の音は何処をソースにして出力されるのかとなりますと、PC側の設定によります。出力デバイスでMOTU1-2を選ぶとout1,2へ、MOTU3-4を選ぶとout3,4へ音声が出力されます。
私は最初このPC側で出力デバイスが2つに分かれている仕様に気が付かずにline用の3,4とアンプを接続しており、音がヘッドフォンから聴こえるのにスピーカーからは聴こえなかったので、初期不良か?と焦ってしまいました。
私はPCの出力、つまり同一のソースがout1-2とout3-4へ出力されると思っていたのです。これは私の知識不足だったのでしょうが意外でした。ちなみにStudio One4の出力でMOTU M4 Seriesを選ぶとout1-2へのみ出力されています。
そしてそうなると、out3,4の用途って何だろう?と思いました。PC側でout3-4の出力を選択している場合ですとモニター音はこちらに入らないので、in1-4の音はPCを経由した音のみ出力され聴こえます。ですのでM4側でヘッドフォンを聴いても何も聴こえません。その時にダイレクトモニタリングをONにすればinの音だけは聴こえますが、あまりそういう使い方はしない気がします。
リスニング用途の機器ではなくDAW用途の機器ですから、私が知らないだけで需要があるからその設計になっているのでしょうね。ご存じの方いらっしゃればご教授願いたい所です。
そして背面にはMIDIインターフェースとの接続用ポートのInとOutがあります。MIDIキーボードなどを接続できるようになっていますね。
出力音質
Onkyoのサウンドカード、SE300PCIEを利用していますのでそれとの比較になります。スピーカーはTimeDomain Dimension09(Yoshii9のOEM)、ヘッドフォンはSennheiser HD700です。その環境での評価になります。
聴き比べてみたのですが、第一印象はSE300PCIEに比べて「音が硬い」と感じました。そこからぐっと集中して聴き比べに入ります。音楽制作のモニタリング用途のM4、そしてリスニング用途のSE300PCIEではそもそも音作りのポリシーも目的も違いますので、一概に優劣を付けれるものではないのでしょうが・・・。
M4の音はSE300PCIEより硬質で、色々な音が分離して聴こえます。今迄気にならなかった音のアラが見え、上下、そして奥行がより見渡せるようになりました。リバーヴのかけ方ひとつ取っても、細かい所までわかるようになりました。
モニター目的ですので当然なのかもしれませんが、とにかく音情報の分析が行い易いのです。SE300PCIEですと純粋に音楽を聴かせるために、分析できるというより良くも悪くもたくさんの音が融合しているのですが、 M4だと融合ではなく個々独立しています。
そして音が独立して聴こえるもうひとつの要素として、SE300PCIEより各音が力強く前に出てきています。以前はスピーカーから音を出す時は低音を少し持ち上げていましたが、M4だと低音の力感もある為、その必要性を感じませんでした。
これは単に低域の出力が強く出るバランスになっている、といった訳ではなく、全域に力感を持った音が透明度を損なわずに綺麗に出ているからだと思います。そしてSE300PCIEより少しクリアに感じます。この音質はお見事だと思いました。
ただボーカルの声だけは芯が弱くなりました。女性の声も男性の声もM4だと少し輪郭がぼやけ、かすんだ感じに聴こえます。SE300PCIEの方が芯があるように聴こえるのです。ひょっとして他の音の芯が増した事による相対的なものかも?と何度も聴き比べたのですが、やはりそう感じます。致命的ではないのですけどね。
音楽制作に向くこの音はリスニング用途として良いのか、となると微妙だと思いました。まず長時間聴くには音に力感があり過ぎる気がします。もっと優しく響く柔らかい音の方が長時間聴くには良いでしょう。SE300PCIEの心地よい音に慣れているからそう感じるのかもしれませんが、何というかM4で音楽を聴いていると、音そのものに意識が行き過ぎるんですね。
総合的には本当に小さな差なのですが、間違いなくM4の方が良いと言えるのですけどね。HD700で聴くとスピーカーより更に差を感じますね。
入力音質
今迄シタール生演奏の宅録をする時に、マイクから古いMixerですがYAMAHAのMG8/2FXを経由させてMU2000へ繋ぎ、同機器のDegital Outを利用してSE300PCIEのDegital Inへ、という形でやっていました。
SE300PCIEのLine InはDegital Inと比べると、明らかに音が籠って聴こえたので音質が良いとは言えなく・・・思案の末そういう接続にしていたのです。ただ散々ライブでお世話になっているとはいえ、そもそもMG8/2FXの性能やMU2000のA/D Inの品質ってどうなんだろう?という疑問もあって、今回マイク入力品質の向上を目指してM4を購入しました。
比較するのにわかり易い方法としてMU2000本体のデモソングを鳴らし、Degital Inの音と聴き比べるという手段を取ってみました。
in1-2やin3-4へMU2000のアナログ出力を接続して聴き比べてみたのですが、Degital Inと全く同じ音をしていました。データを取ったり耳性能が高い人が聴き比べると違いがわかるのかもしれませんが、私には違いが感じられませんでした。
他サイトのレビュー記事でも入力品質は相当綺麗だと書かれていますが、期待通りの品質だと思います。私のメインマイクはAudio TechnicaのAE3300という結構古い代物なのですが、良い音で拾ってくれます。このマイクの性能をより生かせそうですし、どんな音でシタールの演奏が取れるか楽しみですね。
ソフトウェア
MOTU.comでユーザアカウントを作成し製品登録すると、以下のソフトウェアがダウンロードで入手できます。
Performer 10 Lite と Ableton Live LiteはDAWソフトウェアです。どちらもLite版なので機能制限はありますが、必要ならアップグレードすれば良いので上位版をまともに買うよりはお得です。
昨今殆どのAudio I/Fは同メーカーが提供しているDAWソフトウェアのLite版がバンドルされていますよね。欲しいAudio I/FとDAWソフトウェアが一致する人にとってはメリットが大きいでしょう。
LucidSamplesとBig Fish AudioはLoop素材、Sample素材のライブラリです。結構な量の素材が入手できますのでこれは嬉しいですね。LoopMastersも素材集なのですが、こちらはクラウドになってまして有料の素材集なのですが、一部無料で入手できるという形態になっています。
最後に
コストパフォーマンスが高いと言われているMOTU M2/M4ですが、音質に関してはとてもお買い得だと思います。ただリスニング目的でAudio I/Fを買う人はRolandやSteinberg製の、音が柔らかいと言われている機器を選ぶ方が良いでしょう。私は実際に聴いた事は無いのですが・・・。
あくまでも音楽制作用として、そしてリスニングにも使えれば尚良し、な人にとってはこの価格帯で選ぶなら本当に良い選択ではないでしょうか。
私の環境のせいでSE300PCIEとの比較という記事になりましたが、これは比較としては珍しい例になるかもしれません。M4の方が評価が高い表現で記事を書きましたが、実際の差は本当にわずかでその中での差異を言葉にしています。
ただSE300PCIEはもうドライバが有志開発の状態ですのでいつ迄使えるかわからないですし、こういった機器に出会えたのは良かったです。また機会があれば音が柔らかいと言われている機器も試してみたいですね。
MU2000もいつ壊れてもおかしくないのですが、ここにしか無い音色もありますしね・・・長く使える事に感謝ですね。
新旧入り混じったシステムでこれからも遊べそうですね
0 件のコメント:
コメントを投稿